Smiley face
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日本選手権の男子やり投げ、5投目で87メートル16を記録し、喜ぶ崎山雄太=2025年7月5日、国立競技場、藤原伸雄撮影

 陸上の世界選手権(世界陸上)東京大会男子やり投げに出場する崎山雄太(愛媛競技力本部)には空白の2年間がある。やりを投げられない時間が、飛躍のきっかけになった。

 奈良県出身で、高校生の時にやり投げに出会う。進学した日大はやり投げの強豪。入学当時の自己ベスト61メートル06は「(実力の)レベル的には大学内の下の方」だった。

 1年生の夏、右ひじを痛めた。大学4年生のシーズンまで2年以上、やりを投げられない日々が続いた。

 体が弱いんじゃない?

 けがについて、ちょっと毒の入った冗談を言われることもあった。その場は笑顔で返しても、1人になると言葉を真に受け、落ち込んだ。「なんで自分はこんなに弱いんだろう」

 弱さは周囲に見せたくなかった。明け方、寮を抜け出し、散歩した。気分転換しようとした。

 そんな時、声をかけてくれた…

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